2016年 10月 09日
「三大疾病保証保険」は、生命保険、損害保険のいずれにも属さない第三分野の保険に分類されます。また特約(主契約のオプション)として契約される場合もあります。この保険の特徴は、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の3大疾病に罹患すると保険金が支払われる「生前給付型」の保険です。最近では「七大疾病」を保証する商品も登場していますが、基本は同じです。また生命保険に「リビングニーズ特約」があれば、余命6ヵ月の診断で死亡保険金を受け取ることができますが、これも生前給付型になります。これらの契約に際してはツボを押さえてきちんと内容を理解しておくことが大切で、いざ事が起こったときに自分が思っていた保証を受け取れない事態になってしまいます。 ツボ1:「保険金を受け取った時点で契約終了」 生前給付型の保険は、保険金を受け取った時点で契約終了です。「三大疾病保障」の場合、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」いずれかの診断を受け、所定の状態になった場合に死亡保険金を受け取るわけですが、その後死亡した場合は既に契約は終了しているため保険金の支払いはありません。一方で3大疾病にかからずに死亡した場合は、死因を問わず死亡保険金が支払われます。リビングニーズは死亡6ヵ月前に保険金を受け取るイメージです。 ツボ2:「所定の状態」はハードルが高い (1)がん…はじめて「悪性新生物」と診断された場合 「がん」といっても「上皮内がん」の場合は転移もなく死亡する確率はほぼゼロといわれています。基底膜を超えて組織に侵入している状態を「悪性新生物」と呼び、俗に言う「転移」の可能性がある段階になってはじめて「所定の状態」になります。 (2)急性心筋梗塞…「60日ルール」が原則 心筋梗塞はとても危険な病気であるが故、わずか2~3時間で命を落とすことも多いのですが、厚生労働省の調査によれば、心疾患の平均入院日数は約21日。つまり心筋梗塞だから入院が長引くのではなく、危険な状態を脱すると早ければ10日前後、長くても30日で退院できる場合がほとんどです。その上で60日以上の労働制限を医師から診断されてはじめて給付となります。「労働制限」とは軽い家事や座ったままの事務業以上の活動で制限を必要とされる状態ですが、日常生活が大きく変わってしまうくらいのものです。ですので給付のハードルは決して低いものではありません。 (3)脳卒中…「60日ルール」原則の他に、「くも膜下」「脳梗塞」「脳内出血」のみが一般的 脳卒中の場合入院が長引くことは珍しくないですが、「くも膜下」「脳梗塞」「脳内出血」といった生命にかかわったり、重い後遺症があるものでなければやはり保険金は受け取れません。 ツボ3:後遺症も60日ルール 急性心筋梗塞では重い労働制限、脳卒中の場合は言語障害、麻痺等の神経学的後遺症を伴うことで保険金が下りますが、やはり「60日ルール」です。言葉では簡単に表現できますが、実際これらの状態になった場合は日常生活に多大な変化をもたらすものと考えましょう。つまり麻痺や制限がほとんどなく済んでしまったという良好な場合では保険金は受け取れないのです。 コンテンツに戻る
by fp2-kojiro
| 2016-10-09 15:02
| 外道FPのライフエコロジー
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Comments(3)
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匿名
at 2017-04-14 15:44
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初めまして。初めて記事を読ませて頂きました。
特定疾病の給付条件についてのご説明があまりに間違っているのでコメントさせて頂きました。 がんは記事の通り上皮内がんと一部の皮膚がんは給付対象外ですが、「命に関わる」云々は関係ありません。私は生命保険の仕事をしていますが、 約60人のお客様ががんに罹患され、うち上皮内がんは2人、死亡された方が10人、残りの50人弱の方は生存されています。もちろん全員にお支払いさせて頂きました(上皮内がんの方はがん保険の特定疾病診断給付金ですが)。 今はがんといっても死亡される方はどんどん少なくなって来ています。 脳卒中、急性心筋梗塞の給付条件は60日の「入院日数」ではありません。 脳卒中は、60日後に後遺症が残っていること、です。 急性心筋梗塞の給付条件も「入院日数」ではなく、60日間の労働制限です。 10人のお客様が罹患されましたが、1人が死亡で、残りの方は生存されています。 給付金は全員にお支払しています。 給付されるのは極めて厳しい、とはどこのデータから言われているのでしょうか? このような、沢山の方が見る可能性のあるブログですので、少しは調べてから正確な記事を書いて頂きたいと思います。 宜しくお願いいたします。
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fp2-kojiro at 2017-04-14 19:04
匿名様
貴重なご指摘ありがとうございました。「60日入院」の記述についてはご指摘の通りです。確かに入院ではありませんでした。訂正させていただきます。 がんに関する「命に関わる」についての表現ですが、「悪性=転移の可能性がある=命に関わる」という意味で記述させていただきました。ご指摘の通りがん診断が即死につながるという趣旨ではありませんが、言葉が足りませんでした。 この記事の内容については私と関わりを持ってくださった保険販売の方からうかがった内容や、懇意にしてくださるFPの方からのアドバイスをもとに、関係書物に照らし合わせて記述させていただきました。その点では細かい記述に甘いところがあり、「どこのデータから…」とのご指摘を真摯に受け止めます。ありがとうございました。 ただ、私の周りには特定疾病保障やがん保険についてあまりにも勘違いされている方が多いことを感じています。「所定の要件」を十分に理解されておらず、罹患イコール給付と考えている方も珍しくありません。「労働制限」と言っても保険の説明書を読んだだけでは具体的なイメージが持てなかったり、ネットの画面の目立つところだけを読んで契約してしまうからかもしれませんが。ですので「ハードルは決して低いものではありません」という表現に修正させていただきました。 自分はこういった状態を少しでもよくし、家計の改善につなげたいとの思いでこのブログを運営しています。ですので今回のようなコメントは正確な情報を伝える意味で大変ありがたく思っています。コメントの文面から勢いを感じますが、私自身は匿名さんのようなコメントを大切にして少しでも情報の質を高めたいと考えています。いい勉強になりました。
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tiger2121
at 2017-04-15 12:43
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「約60人のお客様…」や「10人のお客様」とは何年間でこの人数ですか?
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