「知る人ぞ知る店」という言い方がある。そこはメインストリートに派手な看板の店と違い、小規模でやや立地条件の悪い所に店を構えているにもかかわらず、なぜか連日人であふれている。飛び込みでそんな店に偶然出会えたとすれば、それこそ幸せというものである。ここ「串焼き とん」は、まさにそんな店だ。実は若い頃訳あってこの店で従業の経験があり、最近機会あって何十年かぶりに訪ねることができた。当時からここのメニューはとてつもなく美味かったが、この日もそれは揺るぎなかった。辣油不要の当代無双の餃子を食べなから、昔夜中に迷惑な管巻きの酔客がここのちゃんぽんを口にしたとたん大人しくなり、スープまで飲み干し「美味かった!」と機嫌良く帰っていた光景を思い出した。追憶の味に感謝。
巳葉月某日 串焼き とん(福岡県北九州市小倉北区鍛治町1丁目6-8-131 南国ビル1F)
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