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2016年 07月 30日

ライフジャイロ(11)~医療保険の本当の役割~

d0334173_14210000.gif 「生命保険」はピンと来なくても、「医療保険」ならわかりやすい。自分が死んだときのことを考えるよりも、病気になって入院することの方がイメージしやすいため、保険会社としても売りやすい商品なのでしょう。最近ではがん保険を含め、様々な特約(保険のおまけ)をつけた医療保険のCMが目に付くようになりました。
 「医療保険」は自分が病気になって病院に長くお世話になるために入るものではありますが、あくまで入院治療が原則です。「通院にも対応…」と記されている場合でも、よく読むと入院前後の通院だったりすることが多いのです。ところが厚生労働省の調査によれば、外来(通院のみ)と入院の患者者数を比較すると、圧倒的に通院患者が多く、医療が必要となる高齢層ではその差は開く一方です。あくまで確率論ですが、自分が病気になった場合に入院になる確率は、外来に比べると遙かに低いと言えるのです。
 医療保険に入っていると安心という感覚は誰しもあり、年齢が若いうちに入れば保険料も比較的手頃なため「まあいいか」と見過ごされやすいのです。しかもほとんどの場合掛け捨てですから、保険会社にとっては安心を盾に売りやすくて解約されにくく、結果利益を上げるにはもってこいの商品なのです。

 (例)
 <契約内容>入院給付金5,000円/日、手術給付付き、1入院あたりの上限60日
 <払込期間>80歳まで
 <契約時年齢>40歳
 <保険料>2,000円/月

・80歳まで40年間支払うとすると
 2,000円✕12ヵ月✕40年 = 960,000円…①

・保険料だけで入院できる日数
 ①÷5,000円 = 192日

 この例で言えば、一生涯で約200日入院しないと40年間支払った保険料の元を取ることができないことになります。しかも「1入院あたりの上限60日」ですから、60日を超えてしまうとそれ以降は給付金が支払われないのです。またほとんどの場合は、一度退院してから決められた期間(90日、180日など)を経過しないと新たな入院として認められないことになっていますから、この条件下で60日入院を4回繰り返してはじめて保険料を回収できます。医療保険の保証があまり現実的ではないのがお分かりいただけたと思います。
 医療には確かにお金がかかり誰もが不安を感じるのは当然ですが、高額療養制度により自己負担額はある程度押さえることができますし、高額と思われがちながん治療のほとんどは健康保険の対象なのが現状です。また先進医療の治療も誰もが受けられるとは限らず、むしろ受けられないことが多いのが現実です。ですので、医療保険で医療費に備えることはほぼ不可能です。
 ただ、実際病気になった場合、多数人部屋では都合が悪い場合もあります。数年前になくなった実父の時も、病気の性質上相部屋では落ち着かず、結局個室を選ばざるを得なかった経験があります。いわゆる「差額ベッド代」ですが、これは保険の対象外のため、医療保険に入っていれば安心して選択できることになります。平均部屋と個室との差は一日あたりおよそ5,000円ですから、医療保険で対象外の費用を賄えるというわけです。これが医療保険の本当の役割なのです。

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by fp2-kojiro | 2016-07-30 15:59 | 外道FPのライフエコロジー | Comments(0)


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